本日、大日本農会「令和5年度農事功績者表彰式」が、全国各地から多くの表彰者を迎え、4年ぶりに以前と同じ規模で開催されることを誠に喜ばしく思います。
この度、表彰を受けられる皆様に心からお慶びを申し上げます。
大日本農会は、農業・農村の振興と発展に寄与することを目的として1881年に創設されました。爾来、140年余りにわたって、生産現場の農業従事者、特に篤農家の活動を基礎として、今日まで数々の事業を展開してまいりました。その中には、農事講演会の開催や会誌「農業」の刊行などがあります。これらを通じて、農業の現状や課題への理解を深めることができるとともに、農業・農村における人材育成と新しい農業技術・経営の普及に大きく貢献しております。
さて、「農事功績者表彰事業」は、本会における最大の事業であり、1894年の創設以来、本年で107回を数えます。この長い歴史と、この間の総受章者数が1万4,000名を超えるに至っていることに深い感慨を覚えます。
本年も、スマート農業の導入や環境保全型農業への取り組みなど、さまざまな工夫を重ねた方々が受賞されました。
農業と農村は、国民生活の基盤である食料を供給するのみならず、国土の維持保全やそこに生息する生き物の多様性の維持、そして地域文化の継承など、国民の暮らしにとって大切かつ多面的な役割を果たしております。
いっぽう、我が国の農業・農村を取り巻く状況をみますと、農業者・農村人口の減少と高齢化、そしてカロリーベースの食料自給率が40パーセントを切り、主要先進国の中で最低の水準になっていることなど、課題は山積しております。また、近年の気候変動が農作物や家畜飼養へ影響していることに加え、世界情勢の緊迫化などを背景とした資材と飼料の高騰の問題、そして地球温暖化の原因とされるCO2の削減も含め、さまざまな事象を考慮した農業生産に取り組んでいくことが求められています。
このような状況の下、本表彰事業が、各地域で創意工夫を凝らし、直面する課題解決に取り組んでおられる方々にとってさらなる励みとなる一つの契機になるとともに、本会の活動が、今後の我が国農業の振興に貢献できることを願っております。
おわりに、本日表彰を受けられる皆様のご功績に深く敬意を表しますとともに、皆様の活動がさらに発展していくことを祈念し、表彰式に寄せる言葉といたします。
2023年11月15日
大日本農会総裁 秋篠宮文仁